<種牡馬解説②>


 現況報告を兼ねて、現在執筆中のウマゲノム版種牡馬辞典から、新しい種牡馬の解説部分を2頭ピックアップした。似たタイプだが、ルーラーシップは量が中心のL系で、ディープブリランテはS質のパワーもそれなりに強く、微妙に違ってくるのでその違いを確認しておくと良いだろう(細かい数字は執筆時点のものなので変更される場合もあります)。



ルーラーシップ産駒


 父の産駒はまとまっている中で集中力が高いC要素も強かったが、こちらは豊富な量を持ち、そのぶんC要素は相対的に弱いので、体力、パワーで押しきるタイプ。道中でブレーキを掛けるようなごちゃついた競馬で脆く、一本調子に加速して力でねじ伏せる競馬で強さを見せつける。  量系らしく上がり勝負に強く、高速上がり指数60と高い。上がり指数テストに使っているうちの1つ、「芝1200m以上でレース上がり34秒未満」では、複勝率0.344で、単勝回収率200円超えという抜群の成績だ。そのため、単調な上がり勝負になる良馬場の成績が稍重や重より良いが、不良馬場も成績が良い。緩い淡泊な流れの上がり勝負と、ばらけてパワー勝負になる不良馬場は、揉まれ弱い体力系には一本調子に加速するという意味で同じなので、似た結果になりやすい。極端な不良になった菊花賞を外枠から捲り気味に、上がり39.6秒で押し切って完勝したキセキなどは典型で、その2走前には、新潟でほぼ最後方から究極の上がり32.9秒で差し切り勝ちを収めていた。  量系は精神的に安定している馬が多く、ルーラーシップ産駒も淡々と走るので、着順の振幅は少ない。そのぶん巻返し指数21と、調子を崩すとあまり巻き返さない。指数テストの1つ、「2ヶ月以内に前3走とも6着以下」のケースでは、複勝回収率は僅か16円、複勝率で0.029しかない。ただ揉まれるとレースを投げ出すので、揉まれたことが原因で大崩れした後は、あっさり巻き返せる。調子を崩して凡走したわけではない場合の、短期的な巻返しには注意だ。枠順でも複勝回収率で1枠54%、2枠57%に対し、7枠72%、8枠71%となっていて、揉まれるかどうかがかなり重要なファクターということが分かる。競馬場も東京が単複共に100円超えに対して、小回り福島は単複共に60円未満になる(ただし中央でも阪神の数字は高くない)。  淡々と走りたいタイプだけにハイペースはあまり得意ではなく、芝ハイラップ指数は43と低い。また精神状態が安定しているタイプの基本として、それほど距離変更ショックは必要とせず、同距離のパフォーマンスが一番良い。距離は自分のペースで走れる1800m以上で安定感があり、特に走りやすいコース形態の2400mでは複勝率45%と得意だ。  量系は休み明けに強く、詰めていくとよくないのが普通だが、案外休み明けより使われて状態が上がっていく傾向がある(ただ、まだ若駒のデータが中心なので数字に偏りが出やすい点は留意しておきたい)。  ダートは1700mを超えると安定感が出て、特に1900m〜2100mのゾーンは揉まれずに体力を活かしやすいので妙味がある。上手く外捲りが決まりそうなタイミングで狙いたい。また芝からダート替わりも案外パワーを活かして激走率が高く、芝血統と思われやすいのか穴になるので、スムーズに砂を被らず競馬を出来そうなら面白い狙いになる。



ディープブリランテ産駒


   体力、パワーが豊富で、量とS質もある。一本調子にねじ伏せるレースが向いて、自然と先行や追い込みなど、極端な脚質で強引に加速する形が多くなる。その為、高速上がり指数は62↑と高数字で、芝1200m以上のレース上がり34秒以下のレースでは複勝率5割だ。ただ追い込みが多いのと、まだ若い産駒で構成された数字なので、実際はこれよりパワーよりのイメージで考えた方が良い。  広いコースでブレーキを掛けない形が理想で、東京、阪神、中京で複勝回収率110円を超え、新潟も90円台だ。距離は1400m、1600mで強く、広いコースでの短距離がベスト。体力があるので、2200m以上でも緩急の少ない流れなら対応出来る。好走率なら短縮だが、穴はゆったり走れる延長が面白い。延長1600mでは複勝率0.333と安定感もある。短縮は1400m以下も率はあるが、1600m以上の方が馬券的には面白い。  揉まれる内枠は荒れてばらける馬場以外はいまいちで1枠と2枠は複勝回収率50円台と低い。逆に7枠と8枠は共に130円台と強烈だ。





---------------

Copyright © masahiro imai All rights reserved.